「熨斗(のし)」の扱いってよくわからなくて悩みますよね。
交通事故での謝罪の菓子折りについて、のしは必要という意見と、不要という2つの意見のがあります。
どちらを頼りにすればいいのかわからなくて迷っている人もいるのではないでしょうか。
今回は、どちらが正しいのか?その真相を調査してみました。
事故のお詫びはデリケートなことなので誤解や間違いを起こさないためにもしっかりと確認しておきましょう。
事故のお詫びで菓子折りにのしは必要か?
一般的に贈り物にはのしをつけるのがマナーとされていますよね。
一見すると「のしが必要」という意見が正しいのではないかと思うのですが、ネットを見ていても「のしはいらない」という回答がとても多いです。
どうしてなのか不思議ですよね。
のしはいらない?
のしは不要とする際は、菓子折りの包装紙のままお渡しします。
なぜのしをあえてつけないのかというと、受け取ってもらえるかどうかわからない問題があるからではないでしょうか。
事故の加害者を許せないから「お詫び」も「御見舞」も受け取りたくない!
そんな被害者の方の気持ちを想像すると、のしに「お詫び」や「御見舞」の文字があると逆効果になりそうです。
それはそれでひとつのやり方だと思います。
のしはマナー
しかしながら日本古来の贈り物の風習として「のし」をつけるのが当然のマナーだと考える人もいます。
のしなしで渡すと、かえってマナーがなっていない、常識知らずだと思われることもなきにしもあらずです。
それなのに、あえて「のしなし」という回答が多いのはなぜか?その理由を掘り下げてみました。
のしとのし紙は違います!
今回調査していて、どうも「のし」と「のし紙」が混同されており、誤解を招いているように思いました。
正確には「のし」と「のし紙」は別のものです。
「のし」は慶事に用いるものなので、お詫びの際には使いません。
のし紙の右上に描かれている赤いマークのようなものが「のし」です。
これは「のしあわび」のことで、のしたあわびとお酒を贈り物に添えた風習が現代では簡略化されて、このようにのし紙に印刷されているのです。
「のしあわび」はお祝い事のときだけですので、事故のお詫びでは当然ながら不要となります。
ですから、事故のお詫びにのしはいらない、というアドバイスをされているのでしょう。
しかしながらやっかいなことに、最近では「のし紙」のことを「のし」や「掛け紙」だと勘違いしている人が増えています。
「のし紙」をどうしたらよいか?という意味で「のしは必要ですか?」と質問しているようなのです。
それに対しての回答は、「のしはいりません」であっているのですが、「のし紙」はお詫びの際でもつけて問題ないですし、つけたほうが丁寧に見えます。
「のし紙」とは水引が印刷された紙のことです。
ちなみに、「掛け紙」は品物を包んでいる包装紙のことで、「のし紙」のことではありません。
これも勘違いしている人が多いですので、混同しないように気を付けましょう。
それでは改めて、「のし紙」をつけてお渡しする場合のマナーについて確認してみましょう。
間違えるとせっかくのお詫びの気持ちも台無しになってしまうことがありますので、大事なことです。
お詫びでの水引は?
のしには水引がついています。この水引には種類がありますので間違わないようにしましょう。
水引の色
水引には赤白の水引と、黒白の水引きがあります。
赤白は慶事(けいじ=おめでたいこと、お祝いごと)
黒白は弔事(ちょうじ=おくやみごと)
このように決められています。
では事故のお詫びはどちらを選べばいいのでしょうか。
お祝い事ではないから黒白だと思いますか?
答えはNOです。
弔事は人の死を悼むおくやみの際に使うので、謝罪であっても紅白の水引を使うのです。
これは誤解を受けやすいポイントだと思います。
水引の正確なマナーを知らない人からは、お祝いごとでもないのに赤白の水引だなんてけしからん!と誤解を受けてしまいそうです。
水引の結び方
また、水引の結び方にも種類があります。
蝶結び(花結び)と結び切りです。
蝶結びは何回もほどいて結びなおせるので、出産や進学など何度あってもいいお祝い事に使います。
結び切りはほどけないようになっているので、結婚や病気のお見舞いなど二度と繰り返してほしくないことに使います。
では事故のお詫びではどちらを選べばよいでしょうか。
お見舞だから結び切り?
答えはどちらもOKのようです。調べてみたのですが、正確な情報がわかりませんでした。
マナーの本などを見ると傷病・災害のお見舞いには結び切りと蝶結びの両方が載っています。この違いを説明している資料は見つけることができませんでした。
ネットでの回答の多くは、二度とないように結び切りを選ぶとあります。結び切りのほうが違和感を感じない人が多いようです。
ですが、結び切りは傷病の全快・快気の時に使うものだと主張する人がいるかもしれません。
また、「見舞いや謝罪をこれきりするつもりはない」ということだ、とうがった見方をする人がいないとも限りません。
・・・いかがでしょうか。
水引の選び方は誤解を生みやすく非常に難しいです。
受け取る人の価値観や気持ち次第で受け止め方が変わってしまうんですね。
そうなると、あえて「のし紙」なしのほうがシンプルに謝罪の気持ちが伝わるのではないかと思えてきますね。
「のしなし」をすすめている回答があるのも納得がいきます。
ただし書きについて
のし紙の水引の上段に書くのがただし書きです。
「お詫び」「深謝」「お見舞い」という言葉が相応しいでしょう。
「寸志」という言葉もありますが、これは「ちょっとした気持ち」という意味合いになるので、受け取り方によっては馬鹿にされたように感じる人がいるかもしれません。使わないほうが無難でしょう。
また、菓子折りに仰々しくのし紙がついていると、「物でごまかそうとしている」と感じる人もいるそうです。
ここまでくると、いっそ「のし」も「のし紙」もなし、シンプルな包装紙(掛け紙)のみがベストという気がします。
現代では、のしのマナーを正確に把握しているひとはほんの一握りです。
間違えたり、変に解釈されるくらいなら、事故のお詫びは「のしなし」が最も無難と言う結論になるのですね。
まとめ
事故のお詫びの菓子折りにつけるのしについてお伝えしました。
熨斗のマナーや意味をお伝えしてきましたが、本来の意味を知らないと誤解を生んでしまう可能性がありますね。
せっかくのお詫びの気持ちが伝わらない可能性もありますので、シンプルな包装紙のみでお渡しするのが無難だと言えるでしょう。